文・写真/ふじたのぶお
錦川清流鉄道を活用して新鮮組の食材を流通させたら良いとか、新鮮野菜で弁当のビジネスモデルができるなど、軽トラ新鮮組が秘める可能性は底知れず広がる。商店街で行うブレーンストーミングの風景だ。しかし、いずれのアイデアも採算性を掘り下げると壁にぶつかる。なぜなら労働の源が「生き甲斐」という金銭価値では量れない因子になっているからだ。
「街おこしは里山を使え」を合い言葉に、商店街活性化を目指して立ち上げた仕組みは、いつしか無形の里山コミュニティとして貴重な役割を担っていた。軽トラに作物を積み込んで街場へ出る。品物が売れたら、そのお金を街で費やして食事やお洒落を楽しむ。里山の人と商店主、それにお客さんが顔見知りとなり、暮らしが楽しくなる。
寒い朝、新鮮組かわら版の取材で山代地域をたずねた。首にタオルを巻き、帽子をかぶり「わたしゃ、それが嬉しいんよ」と、シワを深くして笑うお年寄りの姿が印象的だった。軽トラ市ビジネスは儲からない。地域の人々が交流し、生き甲斐を実感できる仕組みに育んでこそ、商店街が与する意義がある。それは私たちが保つべき最も端正な夢ではないだろうか。
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