文・写真/ふじたのぶお
「人・物・事」。地元に密着している里山と街場の交流から生み出す賑わいは大仕掛けなイベントのような派手さはないが、人々の思い入れが大きな推進力となる。首尾良く立ち上げ、継続できるなら、現代の商店街事情にマッチした街の姿が見えてくる。しかし、生産農家の合意と協力が得られなければ、これは絵に描いた餅にすぎない。
おりしも商店街では土曜夜市の準備に着手、里山を守備範囲とする「やましろ商工会」へ出向く機会を得た。案件もそこそこに、温めているプランをぶつけてみた。どんな反応が返ってくるかと懸念していたところが、時の局長は瓜二つと思える計画を差し出され、これには驚いた。すなわち里山にも街場に対する潜在需要が存在していたという事だ。こうなれば話は早い。詳しいすり合わせを経て、里山側で農家へ折衝するのは商工会が、街側で受け容れ体制を整えるのは商店街が、それぞれ手分けをして動き出す。
「軽トラ市をやろうと思うんじゃ」局長が話すと「軽トラはいらん、持っとる」と農家の姉さんが応える。「ホコ天の商店街へ車両を入れる」といえば「警察の許可が下りん」ともめる。だが達成すべき目標があれば、トンチンカンな理解や諦めの打算は説得できるもの。難関は次々に突破された。
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