文・写真/ふじたのぶお
それは寒い日の朝だった。午前九時に参集する軽トラ新鮮組は、雪道で遅れてはならぬと早々と商店街に集結。しかし積雪による作柄は低調で、大根と白菜ばかりが積まれた軽トラが四台。一年を通せばこれもやむなしと理解。そこへ商店街の面々が集い、雑談を交えて準備を始めた。「今日はテレビの取材が来るで」。なんとした事か、聞いていない。
商店街の活動を採りあげ、活性化に向けて肩入れをしてくれる貴重な番組だという。予め知っていれば手の打ちようもあるが、当日のただいまでは為しようもない。結局のところ、肩を寄せ合うように並んだ軽トラを巧みなフレームワークで撮影していただき、事の主旨や経緯を必死に説明してやりすごした。どのような絵になって映るのか不安でたまらぬが、これが事実である限り致し方ない。
すなわちメディア戦略。広報の窓口はきちんと統制しておかねば、せっかくの好機を無駄にしてしまうばかりか、うっかりすると意図しない形で情報が一人歩きする。広告や宣伝を併せて分かりやすい形にし、みなで共有してこそ効果的な役割を果たすもの。
冬季により翌月開催の中止と申し合わせた直後の放映では、せっかく「ぜひ岩国市の中通り商店街へ」と紹介してくださるも、事は再来月。不運なり、阿々。
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