文・写真/ふじたのぶお
クチコミとは必ずしも自然発生するものではない。口から口へ伝えられる事柄には、しばしば目やヘソがある。すなわちクチコミに乗りやすい見え方、見せ方を戦略的に仕組むことが必要なのである。
一つの思いつきから始まった軽トラ新鮮組は成功と失敗を重ね、協議会の発足をへて商店街との協働を達成した。事業としては軌道にのったようでも、これらは内面的な運営体制の充実でしかなく、マーケットや街に向けた広報宣伝がなされて両輪が揃うもの。実はこの片輪こそ大きなエネルギーを必要とする課題だ。
「野菜が安い」と単なる宣伝チラシをばらまくだけでは無駄弾。クチコミに乗せようとするならば、作り手とお客をつなぎ、信頼の上に両者が利益と感動を得る「ウィン・ウィン」の関係づくりを目指すが良策。生産者や農場の環境を伝える新聞の発行が重要な役割を果たすにちがいない。
どのような人物がどんな場所で何を思って農業にとりくみ、なぜ身近に購入できるのか。一人生産者の思いと、一人の消費者の疑問をひもとく鍵を渡すことによってクチコミは生まれる。情報紙「新鮮組かわら版」は財団法人やまぐち産業振興財団の助成を受け、岩国市内の約六万戸へ配布される。
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