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(地域開発2012年12月掲載)
岩国市・中通り商店街の軽トラ新鮮組!
街おこしは里山を使え

3)実践「軽トラ新鮮組!」

文・写真/ふじたのぶお

【参加意識がコミュニティをつくる】
2009年12月。第1回「軽トラ新鮮組!」を実施。「まずは始めること」を合い言葉に11台の軽トラが商店街に並んだ。街を歩く人々も歩行者天国のアーケード下に並ぶトラック市に、どう反応して良いか戸惑う光景も見られた。

 商店街では、泥だらけの軽トラを素敵な販売台に見せるため、荷台へ吊すためにデザインされた横断幕や、のぼり旗、揃いのエプロンなどを用意。陳列の方法やPOPの書き方、接客の基本などを教えるために、商店主が軽トラのもとへかけ寄る。同時に商店街の店々も、急速に増えた人通りを見て店頭ワゴンなどで売り出しを行う。路上の鍋料理販売に人が群がり、商店街に飛び交う「いらっしゃいませ」や「ありがとうございます」の掛け声は、直接的な賑わいを生みだした。

【テーマを設ける】
 「軽トラ新鮮組!」を継続していく過程で、ただ販売を繰り返すだけではマンネリ化が避けられない。そこで商店街では軽トラ市の開催ごとにテーマを決め、新たな魅力発掘を行い、商店街を街のコミュニティとして活用していくことを実践する。

 「ママでも出来ちゃう山菜料理教室」。里山に伝わる料理がある。一方で街暮らしの人々、とりわけ子育て世代のママたちには田舎料理を習う機会が少ない。食材を運ぶだけでなく、料理の方法、料理する母さんを主役にした簡単な料理教室を併設し、足が遠のいていたママ世代の集客や、商店街への関心を集める企画。

 「ちびっこ新鮮組」。街から里山へ赴く農村体験ツアーを実施。軽トラ市で里山に興味を抱いたお客様を募集し、商店街が主体となって「軽トラ新鮮組!」の故郷を案内するツアー。食育にも資する効果を挙げる一方で、軽トラ市や商店街のファン客をつくる有効な手段となった。

 「新鮮組かわら版」。軽トラ市に出ている生産農家を商店主が取材し、作成した新聞。岩国市内約6万戸へ新聞折り込みによって配布した。販売台に載せてある品物を見ただけでは伝わらない農業の背景は、お客さまの来街モチベーションを促す。また、取材、執筆、編集のプロセスは生産農家の人々にとって、「商店街の人がわざわざ来てくれた」と信頼の絆を強くする効果があった。

(許可なく転載お断りします)
1)現代商店街の元気再生
2)企画概要書と広報
3)実践「軽トラ新鮮組!」
4)人と物を覚醒させるのは「事」
5)課題