事業目的
岩国市では平成25年10月に内閣府によって中心市街地活性化基本計画の認定を受けた。これに伴い中活計画を推進するために平成27年4月にタウンマネージャーを公募によって選任し、同年6月、株式会社街づくり岩国が中通り商店街の路面店舗へ「岩国まちなか倶楽部」の開設した。 本所は@岩国の特産品販売を行うアンテナショップ機能のほか、A街なか出店サポートセンターとしての機能や情報を備えることを柱に、B街なかにおけるコミュニティ空間の運営を行い、街づくりの実際的な拠点として機能している。 こうした背景を受けて当振興組合では、「岩国まちなか倶楽部」やタウンマネージャーらと連携し、商店街の経営革新に資する事業設計・調査に着手し、同時に中心市街地活性化基本計画の推進に効率的な役割を果たす事業を展開した。 本事業の実施によって得られた結果や課題は速やかにタウンマネージャーへフィードバックし、街づくりの推進に貢献しているか、また商店街の新たな形のコミュニティ効果が得られているかなど、データを蓄積しながら検証した。 本事業において一定の効果的が認められた事業は、「岩国まちなか倶楽部」が引き継ぎ、いずれは中活協に対して中心市街地活性化基本計画へ追加事業の提案を行う。
事業内容
1)ストリートファニチャー 商店街の路上へ屋外用ベンチを設置する社会実験。近年の高齢者の通行量増加、また近隣の老健施設の稼働による環境変化を踏まえ、高齢者や買い物客向けの公衆ベンチを設置し、人が行き交う「お散歩通り」としての商店街の有益性を検証した。通行量調査やアンケート調査によってデータを蓄積した。 ベンチは岩国市の里山(やましろ地域)の木工センターなどで製作した地場産の家具をリース方式によって用い、地元産品のPRを行うと同時に地産地消を推進した。
2)ポケットパーク 商店街に面した空き地のミニ公園化を試みる社会実験。商店街に面した建家が除却となり更地化している。車両通行規制があるため駐車場などに再活用できない土地を対象に、地主へ協力を呼びかけた結果、約60坪の空き地を賃借することができた。芝生の育成時期には少し尚早だったが、約30坪の敷地へ芝生を張り込み、住民の意見などを聞いた。一定の育成がなされた後には、週末カフェなどの実験的営業を行う。
3)中通り街づくり新聞 社会実験事業を実施することなどを広く喧伝し、商店街の活気が再生している様子を自ら発信した。新聞の記事内容は社会実験の計画や進捗、商店街が主催するイベントの目的や狙いを掲載し、活動の理解を求めたほか、岩国まちなか倶楽部の具体的な動きなども掲載した。 新聞は既存の集合情報紙(新聞折り込み約6万部)のタブロイド判1頁全面を使い、コストを低減し効率的な編集・発行を行った。発行は2回(11月・2月)。
4)2016街づくりカフェ 中通り商店街に整備される予定の「岩国まちなか倶楽部」を活用し、本事業や商店街、また中心市街地活性化基本計画についてフリートークでフォーラムを開いた。街や商店街を活用したイベントや、各種のボランティア活動を街づくりに連携させる器にもなり、リーダーの発掘を行った。ファシリテーターはタウンマネージャーが担当し、公平な意見交換の場を実現した。 活発に交わされた意見の中から、街へ対するニーズの世代格差が多様にあることが分かった。その中で、既存の設備(店舗や空き店舗、公民館、空地など)を活用する事で、大きなハード事業を行うことなく人や物事が交流することが可能であり、街を使ったソフト事業をコントロールするブレインの誕生が望まれる、などが話し合われた。
問題点・課題・対応策
地権者や家主との賃借交渉に時間を費やした点、単年度事業ゆえに植物育成(芝生)の季節的な符号が困難だった点などが課題として残った。地権者は移り変わるが、平素からの交流によって、できるかぎり情報共有を図っておくなどの対応が望まれる。
今後の取組予定・課題
効果的と判断された項目については、タウンマネージャーと情報を共有し、中活エリア各所で展開をしていくべく中活計画への追加事業として今後、商店街振興組合や岩国まちなか倶楽部から中活協へ提言していく。
事業の成果及び効果
本事業において「里山ベンチ」を設置したことにより、高齢者ばかりではなく若い世代の滞在時間が増加した。買い物途中の休憩や、友人や家族との待ち合わせ、歩きスマホの抑止効果などが見られたことは想定外の効果だった。
ポケットパークは商店街が主催や協力するイベントの際、ただの空き地ではなく公園環境を有する広場が使えることによって、安全性や快適性などが著しく改善した。その結果イベント会場として活用したいと申し出る市民・住民が増加した。
中通り街づくり新聞では、中通り商店街の歴史やイベント、経営の理念や将来に目指す商店街像などを掲載し、2回発行した。読者からの反応は大きく、「分かりやすい」や「自分も街づくり」に参加したいなど、人材発掘の機会にもなった。
街づくりカフェでは、街へ対するニーズの世代格差が多様にあることが分かった。その中で、既存の設備(店舗や空き店舗、公民館、空地など)を活用する事で、大きなハード事業を行うことなく人や物事が交流することが可能であり、街を使ったソフト事業をコントロールするブレインの誕生が望まれる、などが話し合われた。
この事業は、公益財団法人やまぐち産業振興財団の支援(平成27年度商業・商店街振興助成金事業)によって、岩国市中通商店街振興組合が主催しています。
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