HOME > 今月の軽トラ新鮮組! > コラム:軽トラ市
<< 前ページへ戻る


(山口新聞「東流西流」2011年11月〜12月に連載されたコラムをアーカイブ化しました)

「支度」>>

軽トラ市「発想」


文・写真/ふじたのぶお

 商店街活性化に携わって十年余りが過ぎた。好景気を背景にしていた頃の活性化対策は、多額の補助金を投じた大きな催事やハコ物と呼ばれる物理的な投資が効果を挙げたが、やがて地域経済の疲弊にあわせて陳腐化した。その過程から「必要なのは物ではなく心、人の思いが街を支えるはず」と考えた。与えられる幸せより共に創造する歓びが街を元気にする時代。

 街にいながら岩国をとりまく暮らしを見直してみた。この街には豊かな中山間地域があり、商店街が欲する農産物があった。地産地消は最も端正な地域経済の発達スキームだ。しかし旧来の「朝市」では大きな手間や費用がかかってしまう。そこでまず農村へ飛び込んでみた。多くの農家は野良仕事をするための軽トラを持っていた。「そうか、これだ」ひとつのアイディアが閃いた。

 市場施設の代わりに軽トラの荷台を使う。販売するのは作物を拵えた本人、誰よりも作物のことをよく知っている。商店街は人が集まる空間を提供し、売るための職人である商店主が売り方のコツを助言する。パズルのピースが合致した。

 物ではなく人が主役。人の交わりを案内するのが商店街の役割。「街おこしは里山を使え」を合い言葉に、軽トラ新鮮組が動き出した。

(許可なく転載お断りします)
第1回「発想」
第2回「支度」
第3回「出発」
第4回「発信」
第5回「失敗」
第6回「仲間」
第7回「協働」
第8回「課題」
第9回「夢」(完)